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NAS

NASとは

NASとはNetwork Attached Storageの略称でネットワークに繋がっているHDD(ハードディスク)のことです。よくわからないと思うので順を追って図を用いて説明します。

NASの中にはHDD(ハードディスク)が入っている

NAS本体の中にはパソコンで使っているようなHDD(ハードディスク)と呼ばれるデータを記憶しておく装置が入っています。

NASの中にはHDD(ハードディスク)が入っている

HDDが1台のみ入っているNASもあれば複数台HDDが入っているNASもあります。

HDDが2台以上入っているNASもある

HDDが複数台入っているとRAID(レイド)と呼ばれるデータの高速性や安全性の面でメリットがある技術を使用できます。詳しくは後述します。

NASをWi-Fiルーターに接続してネットワーク形成

実際にNASを使うためにはWi-Fiルーターと呼ばれる機器に繋ぐ必要があります。

NASとWi-Fiルーターを接続

Wi-Fiルーターは家の中に無線を飛ばしてくれるので様々なデバイスを接続してネットワークを形成することができます。

Wi-Fiルーターによってネットワークが形成

これで冒頭に説明した『NASとはネットワークに繋がっているHDD(ハードディスク)』であるということが伝われば幸いです。

また家庭内で使えることはもちろんですが、インターネットに接続できる環境であれば外出先でも自宅のNASのデータにアクセスすることが出来ます。

外出先でもネットに繋がっていればNASにアクセス可能

NASのメリット

複数デバイスで同時に使える

NASはネットワークで繋がっているので、スマホやタブレット、パソコンなど複数のデバイスで同時に使うことが出来て便利です。例えば下図のように、お父さんがスマホで写真をNASへアップロードしているときに、お母さんが別の部屋でパソコンを使ってNASに保存されている写真や動画を見たりできます。NASの導入は自前のクラウド(icloudやGoogleDriveなど)を持つようなイメージになります。

複数のデバイスで同時に別の場所からNASにアクセス可能

一方でパソコンに内蔵されているような通常のHDDは、そのパソコン本体からしか使えません。子どもの写真を夫婦それぞれのスマホからパソコンのHDDに取り込もうとすると順番待ちが発生しますし、そもそもスマホとパソコンを有線接続しなければならず非常にわずらわしいです。NASがあればいつでもどこでも無線でデータにアクセスできるので、子どもの写真の保存もストレスフリーになるでしょう。

パソコンに内蔵されているHDDにはそのパソコンを使っている人しかアクセスできない

大容量である

NASの容量は搭載されるHDDの容量とその台数により変化しますが、標準的には最低でも1TBはあります。NASの種類によってはHDDを複数台搭載しているモデルもあり、想定される写真や動画の容量に合わせて様々な容量の製品を選ぶことができます。

同じ2TBの容量でも搭載されるHDDにより組み合わせが異なる

また上図のように同じ2TBの容量のNASであっても、搭載されているHDDの容量によってHDDの数も違います。HDDが複数になるとRAIDが使えるメリットが発生します。

写真や動画以外のデータも扱える

NASは写真や動画以外の音楽やテレビ番組、WordやExcelなどのファイルも保存することが出来ます。例えばデスクトップパソコンで作ったWordファイルをノートパソコンでも使いたいときに、ファイルをNASへ保存しておけばUSBメモリなどを使わずにWordファイルを開くことが出来ます。

USBメモリを介したデータのやり取りは少々面倒くさい
NASを介したデータのやり取りは手間なくストレスフリー

データの安全性・高速性を高める技術(RAID)を搭載

複数台のHDDを搭載するNASにはデータの安全性・高速性を高める技術が搭載されており、RAID(レイド)と呼ばれます。RAIDと言ってもその中にさらに種類があり、家庭用NASで考えるならRAID0RAID1がわかっていれば十分と思いますのでそれぞれ図説したいと思います。

RAID0(ストライピング)

RAID0は複数のHDDにデータを分散して保存することで処理速度を高める技術です。ストライピングとも呼ばれます。わかりやすいように図で説明します。

AとBの二つの要素からなるデータをRAIDなしのNAS(HDD2台搭載)に保存する場合と、RAID0のNAS(HDD2台搭載)に保存する場合を比べてみます。左側のRAIDなしのNASではA要素を保存した後にB要素を保存しているのに対して、RAID0のNASはA要素とB要素を同時に保存できるため処理がより早く終わっています。これはRAID0のNASが二つのHDDを一つのHDDとみなして同時に処理を行うことができるためです。搭載するHDDの数が増えるほど高速性は向上していきます。データの保存だけでなく読み込みも同様に速くなります。
またRAID0ではRAIDなしと比べて保存容量に変わりはなく、搭載するHDDの容量をフルで使うことが可能です。

RAID0では二つのHDDにデータを分散して保存するので処理が速くなる

データ処理速度が向上するのがRAID0のメリットですが、デメリットはデータの安全性が低い事です。仮にHDD②が破損してしまった場合、要素Bは完全に失われてしまい元データを復元することはできません。RAID0ではHDDが一つでも壊れるとデータを復元することは不可能となってしまいます。

RAID0ではHDDが一つでも壊れるとデータを復元できない
メリットデメリット
データ処理が速い一台でもHDDが壊れるとデータを復元できない
搭載したHDD容量をフルに使える

RAID1(ミラーリング)

RAID1は複数のHDDに同じデータを記録することでデータの安全性を高める技術です。ミラーリングとも呼ばれます。わかりやすいように図で説明します。

AとBの二つの要素からなるデータをRAIDなしのNAS(HDD2台搭載)に保存する場合と、RAID1のNAS(HDD2台搭載)に保存する場合を比べてみます。左側のRAIDなしのNASではHDD①のみに保存しているのに対して、RAID1のNASはHDD①とHDD②に同じデータを保存しています。

RAID1では同じデータを二つのHDDに保存している

もし仮にHDD②が破損した場合でも、RAID1を設定したNASはHDD①に要素Aも要素Bも残っているので元データを復元することができます。RAID1はHDDが1台故障してもデータの復元が可能なのです。

RAID1ではHDDが一台破損してもデータを復元できる

しかし同じデータが二重に出来る分、HDDの容量は半減します。

メリットデメリット
HDDが一台壊れてもデータ復元可能HDDの容量は半減

一長一短なRAID0とRAID1ですが、両者を合わせたRAID10という技術もあります。しかしRAID10を使うにはHDDが4台必要となり家庭用NASで運用するにはコストがかかりすぎると考え本サイトでは紹介しておりません。またより高度なRAID5やRAID6などもHDDが3台以上必要となり家庭内運用でそこまで備える必要が無いかなとの管理人の偏見で説明は割愛しております。

NASのデメリット

経年劣化で故障の可能性(約5~10年)

精密機器だけに避けられないのが経年劣化で故障の可能性があることです。使い方や設置環境にもよりますが約5~10年の寿命と言われています。
NAS内部のHDDが故障したとしてもRAID1を設定して運用していた場合はデータ復旧の可能性は残ります。しかしNASの本体自体が故障した際はデータの復旧はかなり厳しく、内部のHDDを取り外して別の新しいNASに取り付けてもデータは取り出せないようです。
対策としては、HDDの状態をモニタリングし故障を予測するサービスのあるメーカーの製品を使うのがオススメです。このサービスを使えば事前にHDDを交換したりデータのバックアップを取ることで写真や動画データを守ることが出来ます。一方でNAS本体についてはそのような故障予測サービスは無いため、ある一定期間が経過したら機器更新をすることしかないかと思います。

停電や落雷で破損の可能性

NAS使用中に突然停電が起きた場合、稼働中のHDDに損傷が起きてデータが消えてしまう可能性があります。また落雷があった場合は電源のコンセントから大きな電流が流れ込むことがあり(雷サージ)NAS自体が破損する可能性があります。
対策としてはUPS(無停電電源装置)と呼ばれる機器を接続することが挙げられます。UPSはバッテリーのようなもので、仮に停電が起きてもUPSが代わりにNASへ一定時間電源供給をしてくれます。またUPSには雷ガード機能が付いている製品もあるため停電・落雷どちらの対策にもなります。
しかしUPSはやや高価なため落雷対策のみであれば雷ガード付き電源タップを使用する選択肢もあります。

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